介護の現場では医師や看護師、介護士や介護支援専門員などの専門職が連携して患者を介護しています。これを多職種協働と呼んでいますが、質の良い介護を提供するために注目されています。それぞれの職種が互いの専門性を生かし、なおかつ意見交換しながら患者に対してより良いケアを行うことはとても大切なことです。
では、どのようなときに連携の大切さが分かるのかが気になるところです。ここでは認知症の患者が入浴拒否するという事例を取り上げてみます。例えば、普段は穏やかでレクレーションも積極的に参加する患者が、入浴だけは強く拒否するというケースがあったとします。この場合、何故入浴を拒否するのか、その理由を最初に考えるでしょう。入浴するのが億劫かもしれないし、或いは裸になるのが嫌かもしれません。
ここで大切なのが、様々な視点から入浴拒否の理由を考えることです。つまり、介助を主に担当する介護士だけで考えるのではなく、看護師や生活相談員などの多職種でグループワークを行って入浴拒否の理由を検討する必要があります。どうやったら入浴してもらえるか、その対応策を検討するのです。これが多職種協働であり、様々な職種の情報や意見を取り入れていきます。そして、患者本人の意思を尊重する、患者の気分が良いタイミングで入浴へ誘導するなどの対応策を講じていきます。このように、患者本人に合った個別のケアを実践するためには、多職種の情報共有や連携が必要となってくるのです。